2020年10月16日に公開された、映画「鬼滅の刃 無限列車編」。
公開前からかなり話題になっており、既に複数回劇場に足を運んだ方も多いのではないでしょうか?
TVアニメでも大ヒットを遂げた主題歌「紅蓮華」を歌うLiSAさんが、劇場版も主題歌を担当されています。
その主題歌は2020年10月14日にリリースされた17枚目のシングル「炎」です。
GACKTさんを始めとした著名人がカバー動画をYoutubeにアップロードされていることから、鬼滅の刃のファンでない人も曲を知っている人も多いと思います。
既に「映画とマッチしていて泣ける!」と、話題のこの曲ですが、この記事ではそんな「炎」の歌詞の意味と、そこに込められた思いを紐解いていこうと思います。
鬼滅の刃「炎」のタイトルの意味

まず曲のタイトルですが、「炎」と書いて「ほむら」と読みます。ほむらと読む漢字には、「炎」と「焔」の二種類があり、この漢字には「心の中で燃え上がる、嫉妬や怒りなどの激しい感情」などという意味があるそうです。
今回「炎」の方の漢字が採用されているのは、言うまでもなく、映画のキーマンである「煉獄杏寿郎」が鬼殺隊の「炎柱」であるからだと言えます。

ファンの間でも、タイトルから既に心を持っていかれている方がいますね笑
この「鬼滅の刃 無限列車編」のために書き下ろされた一曲ですから、曲名から既にファンにはたまらないと思います。
鬼滅の刃「炎」に込められたLiSAの思い

同じく2020年の10月16日、Youtubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で公開された、LiSAさんの歌う「炎」の映像も話題になっています。
歌い始める前に念入りに気持ちを整理しているような様子のLiSAさん。
ピアノの伴奏に合わせて強い感情を乗せて歌唱されています。
歌い終わった時、「色んなことを思い出しました」と涙を浮かべるLiSAさんが印象的でした。
「この『炎』という曲は、色んなことを乗り越えて、辛いことも含めて、どんなに辛くても生きて行かなくちゃいけないんだっていう、今までのいろんな自分の中の思いが、息も想いもこの中に入っていった気がしました」
と息を整えながら動画内で思いを綴っています。
出会いと別れを繰り返す人生の中で、きっとファンには見せていない辛いことや悲しい事も沢山あったのでしょう。
‘‘ロックヒロイン‘‘として、聞く人の背中を強く押してくれるような明るい曲をたくさん届けてくれたLiSAだからこそ、この曲に込める思いは強いのではないかと思います。
鬼滅の刃「炎」歌詞の意味を映画に沿って考察!
この「鬼滅の刃 無限列車編」の曲のタイトルのイメージである「煉獄杏寿郎」の生き様のようだとファンの間では話題になっています。
幼いころに強く優しい母を亡くし、それが原因となり堕落した元柱の父からは、背を向けられ、柱になったことを祝福してもらえずとも、鬼殺隊の柱として責務を全うするためにひたすら前だけを見つめてきた煉獄杏寿郎。

抱えるものが大きいながらも、明るく前向きに後輩を育て、人を守り、最後まで戦い抜いた彼の姿に涙を流した人は多いのではないでしょうか。
「炎」という曲を語る上でもう一つ、主人公「竈門炭次郎」をはじめとする、「我妻善逸」「嘴平伊之助」三人の煉獄杏寿郎の後輩たちも鍵になってきます。
無限列車での一つの任務を通して、煉獄杏寿郎が炭次郎たちに伝えたこと。そして、それを受け止めた炭次郎たち。この気持ちのやり取りが、この曲のメインになっているのではないかと思います。
『さよなら ありがとう 声の限り
悲しみよりもっと大事なこと
去りゆく背中に伝えたくて
ぬくもりと痛みに間に合うように』
この場面は、戦いの末に命の灯が消えかかっている煉獄杏寿郎に対して、炭次郎たちが感謝の気持ちを伝えようとしているのでしょう。
情熱的で前向きな煉獄杏寿郎だから、悲しい言葉で送るよりも大きな感謝を。命のあるうちに、しっかりと伝えなきゃ。そういう気持ちが伺えます。
『このまま続くと思っていた
僕らの明日を描いていた
呼び合っていた光がまだ
胸の奥に熱いのに』
これは、煉獄杏寿郎、炭次郎たち、共に抱く感情ではないでしょうか。この後輩たちを、どうやって育てよう。この先輩から、何を教われるのだろう。
期待の芽生えた内に突然閉ざされてしまった未来。突然訪れてしまったどうにもならない別れに対しての悔しい思いが伝わってきます。
『僕たちは燃え盛る旅の途中で出会い
手を取りそして離した 未来のために
夢が一つ叶うたび 僕は君を想うだろう
強くなりたいと願い 泣いた 決意を餞に』
こちらはサビの歌詞ですね。
前半は煉獄杏寿郎の思い、後半は炭次郎の思いではないかと思います。
劇中、煉獄杏寿郎は「俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする。若い芽は摘ませない」そう炭次郎たち後輩に伝えます。そして炭次郎は、その頃全集中の呼吸を会得したばかりで、「何か一つできるようになってもまたすぐ目の前に分厚い壁があるんだ」と涙を流しながら、煉獄杏寿郎に守られるがまま、何もできなかった自分を悔やみます。
そして後輩たちは「強くなって柱になれ、俺は信じる」という煉獄杏寿郎の言葉に応えようと強くなることをさらに決意します。
この部分の「餞(はなむけ)」という言葉は、「旅に出る人などに贈る、品物・金銭や詩歌など。餞別(せんべつ)」という意味を持ちます。自身の言葉で後輩たちが強くなると決意したことが、後輩を育てたいと思っていた煉獄杏寿郎への餞別になっているのではないでしょうか。
鬼滅の刃「炎」二番の歌詞の意味
『懐かしい思いに囚われたり
残酷な世界に泣き叫んで
大人になるほど増えていく
もう何一つだって失いたくない』
これは煉獄杏寿郎、炭次郎共通の思いのように思えます。
‘‘もう何一つだって失いたくない‘‘
鬼滅の刃は鬼から人を守る鬼殺隊の物語。
修羅の道を歩むまで、きっかけや出くわした辛い場面。たくさんあります。
幸せだった過去を懐かしみながら、目の前の物を守りたい。失いたくない。そんな強い思いが思い浮かびます。
『悲しみに飲まれ落ちてしまえば
痛みを感じなくなるけれど
君の言葉 君の願い
僕は守りぬくと誓ったんだ』
これは恐らく、目の前でなすすべなく煉獄杏寿郎を死なせてしまった炭次郎の後悔の気持ちと、煉獄杏寿郎とした「柱になれ」という約束への決意ではないでしょうか。

ただ悲しんで、それに身を委ねて落ち込むのはきっと誰でも出来てしまう。
でも、鬼である禰豆子を鬼殺隊として認め、後輩たちに「強くなれ、君たちを信じる」と伝えて去ってしまった煉獄杏寿郎のその思いと言葉を守って強くなると、炭次郎は誓ったのでしょう。
『音を立てて崩れ落ちて行く
一つだけの
かけがえのない世界
手を伸ばし抱き止めた激しい光の束
輝いて消えてった 未来のために
託された幸せと 約束を超えて行く
振り返らずに進むから
前だけ向いて叫ぶから
心に炎を灯して
遠い未来まで……』
「煉獄杏寿郎」という一人の人間の命が消え、残していった雄姿や言葉を思い起こしながら、悲しみに打ちひしがれるだけではなく、それを強さと未来への糧にしていこうという決意。
「心に炎を灯して」という歌詞は、まさに煉獄杏寿郎の生き方そのものであり、また、「心を燃やせ」という煉獄杏寿郎が後輩たちに伝えた「炎柱」としての思いでもあります。

後輩たちは強くなって、その思いを胸に戦いを重ねていくんですね。そして、その煉獄杏寿郎の「炎」は、未来に受け継がれていく。
短い時間ながらも、先輩として、柱として、多くの事を炭次郎たちに伝え、糧になった煉獄杏寿郎。辛いながらもその別れは、炭次郎たちにとって、とても大きい出来事になっています。
まさにこの「鬼滅の刃 無限列車編」のために作られた主題歌ですよね。
個人的な解釈になりますが、皆さんにとってはまた違った解釈になっているかもしれません。歌詞の考察というのはそれがまた面白くもあります。
鬼滅の刃「炎」歌詞の意味まとめ
- 出会いと別れを繰り返す人生において、気持ちを強くしてくれる曲
- 煉獄杏寿郎と炭次郎たちの送り送られる心のやり取りの歌
- 曲のみでも感動的だが、映画本編鑑賞後に聴くと涙が止まらない